更新:2017年7月5日
校長先生のコラム
代行授業、バカロレア
5月末のある土曜日、所用で来られなくなる廣重先生の代わりに、4年上と中学の二つのクラスを代講することになった。 私が、以前に漢字教室で一人だけの生徒に日本地図の勉強をしたことがあったので、4年上のクラスでは、 国語の教科書を使うのではなく、日本地図の学習兼漢字教室というスタイルでやりましょう。 中学クラスは、過去のBACの試験問題から、「妖怪」についてのテキストを読み、 出題に答えることを中心に進めましょうと相談してあった。 当日のことと、さらに、翌週につながった印象的なことがあり、 学習態度の素晴らしい生徒たちのことを誇らしく思うあまり、すこし詳しくレポートしたい。
①-1
4年上クラスでは、①-㊼までの番号を振った日本の白地図を配り、知っている県名を記入してごらんと提示した。
しかし、何となくは分かっていても正しく指し示すのは難しかったようだ。
それで、用意していた他の話題に切り替える。色んなものに、通常「お」を付ける言葉探しをしよう。
まず、食卓、台所の周辺で考えてみようと切り出す。
お茶碗、お箸、お皿、お塩、お砂糖、お醤油、お鍋、お水、お豆腐‥…と出て来る、
全員を白板の前に立たせて、どんどん書き込ませる。
食卓以外で家の中を見回して…と言うと、お母さん、お兄さん、お姉さんと書く子がいる、
「お母さんと書いたのなら、続けて書くのは誰?と聞くと、あっと気づいて、お父さん、
と書き、続いておじいちゃん、おばあちゃん…と出て来る。祖父母には「さん」でなく「ちゃん」となるのが面白い。
みんなで、100くらい書いたら、分類してみようと、食べ物、道具、人称、などに分けてみる。
おかし、おせんべい、おまんじゅう…お肉、お魚。お寿司、というが、お果物とは言わないね。
どうして? 回答なし、マヨネーズ、ケチャップ、コーラ。ジュースには「お」がつかないネ。
というと「カタカナ言葉にはつきません」との声あり。外来語には付けないことはわかっているのだ。
お葬式、お誕生日、お正月、お祝い…と言うが、お ではなくご結婚、ご入学と、
ご(御)…と「ご」を使うのは、どうして?―これは次回考えようねとするも、
当たり前のように使っている言葉の意味を探るのは難しい。
出題しながら、意外に深い意味を持っていることに気が付いた。
子どもたちには「お は丁寧な表現で、特に大事なものに付けるということはわかったね」と締めくくった。
軽く持ち出した問題だったが、自分自身にももっと考えてみようという問題となった。
宿題として、廣重先生から預かっていた絵日記の用紙を配った。(今日の校長の授業の感想)
②-1
中学クラスでは、「妖怪」についてのテキスト(2016年の問題)が用意されていたので、
それを配布し、数回繰り返し読ませて、出題に順番に答えさせた。
妖怪を生み出した社会環境に触れているこのテキストもとてもいいものだった。
生徒たちの理解力もよく、全部の質問に、即座にすらすらと明快な答えが返ってきた。
私は、なぜか以前に「妖怪学入門」という本を買っていたのを探し出して
大慌てで読み通すという俄か勉強をしたのだが、これも大変おもしろく、
上級クラスの生徒たちに視野がひろがるような助言が出来たかなと思った。
時間が15分ほどあまっていたので、先の小4上で使った日本地図の話をした。
即答は難しかったようなので、帰ったら日本地図帳を広げてよく見てご覧と言う。
その次の週、この二つのクラスの反応が印象的だった。
①-2
絵日記に、授業風景をスケッチしたようなカラフルな絵を添えてくれた生徒が二人いた。
家へ帰ってから思い出して描いたものなのに、私のシャツの模様、色合いまで描き込んであったり、
授業中の生徒を後ろから描き込んだりしていたのには大変驚くと共に、
観察眼の鋭さ、構成力の素晴らしさに多彩な才能を感じた。
読み、書き、話す、に 描くことも大事なことなのだと痛感した。
②-2
廣重先生が大きな日本地図を遠くから見せながら、ここはどこ?と次から次へと質問すると、
先週とは打って変わって、即答、活発な声。
先週帰ってから、地図帳を見ながら、知っていたことを思い出し、復習していたに違いない。
不確かだったことを、改めて調べなおしていたのだった。
何故できなかったのだろうと悔しい思いをして、
すぐに調べる態度には拍手を送りたくなるくらい嬉しいものだった。
近年の音読発表会のときに、抜群の発表能力を発揮する上級生の存在は大きな牽引力を持っていることでもあり、
その彼らが奢らず研鑽する態度には惜しみなく応援してやりたいと思う。
中学クラスでは、3学期の後半はBACの過去問題も学習している。 ここ数年、我が補習校で、BACの外国語を日本語で受ける生徒が増えている。 試験後に本人から聞く手応えもよく、後に知る成績も殆どが20点満点を取る勢いで嬉しいニュースが続いている。 私たちの指導方針として、一番大切なのは通常の授業を着実に学び続けることと言い続けている。 そして、目前に控えての準備も怠らない。説明の仕方、話し方、姿勢・態度なども大切だ。 受験後に、生徒たち誰もがうまくいきましたと担任へ報告してくれている。 進学してから何をするかは別問題として、バカロレアの外国語を日本語でパスしたという実力の確認は、 これで日本語はもう不要というものではなく、益々日本語を通じて日本を深く理解することにつながるものだと信じて、 日本語に親しんで欲しいと願っている。
補習校校長 浦田良一
スタッフのギヨームさん 退職のご挨拶
補習校安全確保に貢献して下さっていたギヨームさんが
退職されることになりました。
皆様
2年間、日本語補習校で水曜日の安全係をさせて頂き、
大変お世話になりました。フランスにいるのに日本語
の勉強を頑張っている素敵な子供達を見て、私自身も
たくさんのことを学びました。毎週楽しかったです。
他の仕事が忙しくなるため、補習校での仕事を辞め
させていただくことになりました。ぜひ成長した子供
達の姿を見たいので、音読発表会などでまた顔を見さ
せて頂きたいと思います。
ダルデンヌ ギヨーム
更新:2017年3月5日
音読発表会のこと
1月の音読発表会の感想を書くのが2月の更新時に間に合わず遅くなりました。
一部、 二部の終わりにそれぞれも感想を述べましたが、少しずつ異なることを言ったので、全体としてまとめてみます。
今回が8回目ですが、毎年確実に全体のレベルが上がっています。
運営委員長の飯田氏が述べられたように、1、2回目のころは聴いている我々が、ハラハラするような場面があったのですが、今ではまったくありません。
私は本番前のクラスでの練習風景も見ていて、毎回同じ感想を述べていますが、本番のときが一番良くできています。
両親を含めて大勢がいる場所での緊張した集中力に感心させられます。
年々、上級クラスの生徒数が増えているので、堂々と発表する姿を間近で見るという経験の積み重ねだろうと思います。
教員たちが教えられない教育効果を見る思いです。一部、二部の最後の上級生たちの発表は皆さんも感動されたことでしょう。
上級生の実力を知っていただくことは、いい目標があるということです。
ある上級生の練習の時間にこんなことがありました。
本番の日に参加出来ない生徒が、リハーサルのコメンテーターとなり、各人の発表の長所、短所を寸評しましたが、実に的確に指摘したのには驚きました。
先生役を立派にこなしているのです。とても嬉しい場面でした。
人前で、ゆっくり、大きな声で、明晰に読むというのは決して簡単なことではありません。
先に発表が終わった低学年の生徒が終わるまで狭い場所で静かに聴いているということも、教室や家庭では出来ない一つの社会経験です。
日本と異なって、学校で儀式めいた会が殆どないフランスの学校生活では経験出来ないものだけにこのような発表会は、とても大事なものだと確信しています。
後日寄せられたアンケートへの回答にも大多数の方々から満足したとの声が寄せられていますが、会場設備の窮屈さは今後の課題だと思っています。
パリ日本語補習校校長
浦田良一
皆様、音読発表会へのご協力大変ありがとうございました。
また、アンケートへのご記入もありがとうございました。
よりよい発表会になるよう、参考にさせていただきます。
パリ日本語補習校 職員一同
更新:2017年2月5日
更新:2017年1月5日
フランスカルタ美術館主催 新春百人一首大会のお知らせ
パリ、フランスカルタ美術館主催の
新春百人一首大会のお知らせを頂きました。
日時: 1月14日(土) 14〜18時
場所: フランス・カルタ美術館
Musée Français de la Carte à Jouer
& Galerie d’histoire de la Ville
16, rue Auguste Gervais,
92130 Issy-les-Moulineaux
(地下鉄12番線 Mairie d’Issy駅より200m)
カルタ美術館ホームページ
・日本語のご案内ダウンロード
・フランス語のご案内ダウンロード
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